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カルカヤマコト
2003.8.8@ONE LOVE
カルカヤマコト。ついにこの目で!


  
 2003年、夏の初め。机に届いたデモ音源が、僕ら界隈にある種のパニックを巻き起こした。「兵庫生まれの20歳・カルカヤマコト。幼いころからレゲエに親しみ、高校卒業後、単身ジャマイカに。現地にて女児・リタを出産。そして帰国」。簡易ながらインパクト充分なプロフィールに目を通しつつ、ステレオの音源を入れる。
シビレた。個人的な感想を述べるなら玲葉奈以来の衝撃。肌にピリピリと伝わる存在感抜群のスモーキーボイスがそこにあった。憂いに満ちたルーツレゲエ、どこまでも深いダブ、ジャズ、そしてダンスホールトラックにのせ、息を飲むほどの表現力で伝える。とにかく、このデモ音源(1stアルバム『カルカヤマコト』)の影響力はただならぬものだった。
  
 それから数ヵ月、何度かのミラクルを経て、広島ライブが決定。当日の昼間、インタビューの機会に恵まれ、FM局のロビーで彼女を待つ。ちなみにこの段階で、前述したプロフィールより深い彼女を知る人間は皆無。例えばビジュアルにしても、ジャケット写真にある横顔が全てだ。「やっぱり、コテコテにハードな姉ちゃんだよ」「ですよね、凄い芯が強そう」。勝手な妄想がMAXまで膨らんだタイミングで、彼女が到着した。「よろしくお願いします」。って、あれ?結構普通…、というかあまりにも普通…、というのは、まぁビジュアルの話だが(深く突っ込んだ彼女の内面は、来月号の誌面にて)。
  
 当日のライブは20時30分スタート@ONE LOVE。大量の原稿制作に追われ、編集部に缶詰状態の僕。「多分、時間押し押しで22時スタートくらいかな」と淡い期待を持ちつつ、ダッシュで仕事を片付けていた。
何度か電話が鳴る。「まだ来ないの?」「結構、人入ってるよ」。21時30分、決定的な電話。「おう、もうはじまってるで…ガチャッ。ツーツー」。こういう時、考えるべきなのは、自分にとって本当に大事なものはなにか?ということ。5秒で答えがでた。
  
 必死で駆けつけた時点で、ライブはすでに終盤戦。会場は、アルバム1曲目に収録のオリジナル楽曲"Life is one way"のポジティブなバイブで満たされている。期待した通り、歌唱力は確か。だが、目前の幼いルックスと重ね合わせると不思議な違和感を覚えたのも確か。堂々としたステージングというには程遠いあどけなさ。イスに腰掛けたり、立ち上がったり。客席を見据えたり、目を逸らしたり。でも、それが逆に親近感を呼び客席との距離を縮めている。たどたどしいMCや、隠せない緊張。そんな不安要素をオーディエンスの気持ちが補うように…。補った分だけ、空間は暖まっていく。僕も目を閉じたり、開いたり。直立したり、揺らいだり。いろんなスタンスで彼女を見ていた。
  
 マーシー・グレイのカバー"What's Going on"を経て、ついにあの曲に。「みんな、大好きやろ? ボブ」。その言葉で誰もが理解した。ギター1本で爪弾く印象的なイントロ。歓声が上がる。"REDEMPTION SONG"。ライブ序盤に演奏された"Get up stand up"、井上陽水のカバー"嘘つきダイヤモンド"もそう。だけど、あまりにも大胆に、あまりにも忠実に原曲の形を留めたこのカバーには特別なものを感じる。
ジャマイカで得た収穫のひとつは? という質問に、彼女はこう答えた。「レゲエが生まれた社会背景を知ったこと。その音楽が生まれた意味を、身をもって感じたこと」。きっと、だからこそ歌える歌。そんな彼女に舞い降りて、大きなパワーを与える歌。
  
 アンコールで未発表オリジナル曲を。ラストは即興で"ONE LOVE"(サビのみしか歌えず(笑))を。そして、あっという間にライブは幕を閉じた。終了と同時に彼女に詰め寄る人々。そこにはアーティストとオーディエンスの距離感などみじんもなく。誰もが彼女に声をかける。「良かったよ」「CD買うけん!」。なかには、「遊ぼうや!」という意味不明なものまで。ちなみに、この後こっそりと第2幕が行われたということも書き加えておこう。
  
 ライブにレコーディングと、度重なる活動を経て、今後とも数多くの協力者を得ていくのは明白。さらに大きな存在になっていくだろう。カルカヤマコト。未体験者はまずCDを。
  
 そして次なる広島ライブも決定している。9月27日(土)〜28日(日)、宮島のとある海岸で開催される「新月祭」。ここで多くは書けないが、気になる人は中区千田町のONE LOVE(082-246-3767)に問合せを。

(Text by じゅん作)

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