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■ライブレポート >>ライブレポートトップ
玲葉奈
2002.12.1@クラブクアトロ
 
特別な夜
  
アーティストに何かしらの節目があるとして…。
玲葉奈にとって、この夜はまさにその時だったのでは?
  
話は前回のクアトロライブまで遡る。
地元広島で初めての大舞台。ぎっしりと埋め尽くされた客席を前に、彼女は極度に緊張してしまう。表情は硬く、ファンを直視できず、MCはたどたどしい。バンドメンバーも彼女の地元ということに恐縮してか、どこか「よそいき」の演奏になってしまうという悪循環…。酷評する訳ではないが、ライブ前半はずっとこの調子だった。
その流れを救ったのは何か? それは他ならぬファンだったと思う。「玲葉奈が帰ってきた」「玲葉奈が歌っている」。ずっとこの日を待ち望んだファンにとって、彼女のコンディションなど関係なかった。ただ暖かい歓声を贈り、一挙一動をじっと見つめる。会場がアーティストを救ったのだ。
中盤以降、玲葉奈の表情は和らぎ、バンドメンバーにも笑顔が見えはじめた。『Niji』というコンセプトに後押しされ、結果大成功でライブは終わった。
  
その後、どれだけ彼女が悔しがっていたかを噂に聞いた。悔しくて悔しくて1人でずっと泣いていたと聞いた。地元を前に脚が竦んだ自分が、よほど不甲斐なかったらしい…。誤解が無いように言っておくが、客観的に観てライブは成功だった。そんじょそこらの水準は容易くクリアしていたし、観客の満足度も相当なものだったはず。しかし玲葉奈は納得しなかった。その結果が今回のライブに繋がることとなる。
  
12月1日、クアトロが1周年の記念すべきステージに再び彼女が登場。前回同様、満員の観客がフロアを埋め尽くす。
心なしか前回よりも更に客層の幅が広がったかも? 「私、音楽のアンテナ張ってマス」風な人だけではなく、「玲葉奈かわい〜!」的な人だけでもなく、まるで街中の一部分を切り取ってきた感じ。コアな音楽ファンに支持されつつ、ポピュラリティも同時に獲得。あらためて、玲葉奈の居るポジジョンって絶妙だなと。そして、本当に広島から愛されてるんだなと。とても強く感じた。
ついに開演。大歓声のなか登場した彼女に、前回の様なたどたどしさは感じられなかった(ただし例外として、MCは相変わらず言ってること矛盾だらけだったが…)。最初は多少の迷いもあったのかも知れない。でも、観客の顔をうかがうより先に、自分はこうだよ!って、私の音楽はこうだよ!って。表現すれば表現しただけ、ファンの気持ちと共鳴していく。確信を得るほどに、彼女はもっと自分をさらけだし、そして観客も…。
「声が良い」とか「上手い」とか、彼女の魅力はそれだけじゃ全然伝えられない。まず言葉の力、ハッピーだったり苦しかったり、色々と迷いながらも嘘の無い言葉。その言葉はメロディーに変わり、水面の波紋のように、波のうねりのように、空気を伝わる。波は途切れることを知らず、会場の空気を暖めていく…。変な例え話をすると、電子レンジみたいな感じ(?)。ベースの低音や、バスドラのリズムが腹にズンとくる…、これは普通。ボーカルの歌声が、頬にピリピリくる…、これは普通じゃない。玲葉奈はそんな感じ。
  
「ツアー初日からこんなに楽しい夜で良いの!?」
酒のせいで記憶があいまいだが、ライブ終了後、玲葉奈はそんなことを話していた。
「何かがスッキリした。今からやるべきことが分った…」
歌が生れる瞬間のこと。それぞれの曲に込めた深い思い。昂揚感と充実感が彼女を饒舌にしていた。
「彼女はワン・アンド・オンリーだ」「歌うために生れてきたんだ」
パーカッションのラティは語った。いくら語っても語りきれないようで。ずっと、ずっと、繰り返し朝まで語っていた。
  
特別な夜って、本当にあるみたいだ。その特別が、この日のライブだった。僕は確信している。たった今、原稿を書きながら、思い出して胸がいっぱいになる。当日会場に居た人は、きっと何かを感じたはず。会場に行けなかった人は、次の作品で感じとってほしい。
  
新作が楽しみだ。

(Text by じゅん作)

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