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来広ミュージシャン
どうじまこうへい
堂島孝平
<僕の音楽はルーツが見えないでしょ。見せてないんだもん(笑)>
profile●1995年、18歳でデビュー。ポップミュージックの新しい旗手として注目を浴び、最近はTV『堂本兄弟』へのレギュラー出演でも話題に。GO-GO KING RECORDERSらとの共演で新たなポップスの可能性も拓いた。5月30日(日)にはクアトロでライブ!

デビュー5年目にしてリリースしたアルバムタイトルが『FIRST BEGINNING』。堂島くんは今、何を始めようとしているのか? そのへんを、とてもクリアに語ってくれた。

「分かりやすく言うと、当時(迷いが生じた2〜3年前)は自分の音楽に自信が持てなかったんだと思います。自分の音楽を誰が聴いてるんだろう? 普通のポップスファンは聴いてくれるかもしれない。それは分かるけど、例えばスカ大好きな人はどうだろう、グランジだったら? そこに挑戦する気持ちが当時はなかったんでしょうね。知らず知らずに線を引いて、自分のテリトリーを守ちゃってた。だからいけなかったと思う。今は、堂島孝平の音楽を聴かないような人ほど踊らせたいわけですよ。180度変わったというか。『サンキューミュージック』を出す前に、GO-GO KING RECORDERSのオープニングアクトで全国を回ったことがあったんです。そこでの経験が大きかったですね。最初はね、『音楽の畑が違うし、この人たちとうまくやっていけるのかなぁ』って心配してたんですよ。当時はね」
――受け入れてもらえるのかってこと?
「うん。スカで踊りに来てる人は、俺の音楽を聴いてどう思うんだろう、と」
――賭けですね。
「ホントに。スカパラも今ほど歌モノをやってたわけではないですし。でもね、そうするうちに、自分の曲を聴いてカラダを揺らしてくれたりしたんです。それで、俺はやれる、そう思い始めたんです。当時はまだ、ちっぽけな可能性ですけどね(笑)。ジャンルじゃねぇんだって。僕、ポップスってジャンルだと思ってたんですよ。でもそうじゃなくて、ロック、ソウル、ジャズ、ファンク…いろんなジャンルの音楽をベーシックにして成り立ってるのがポップスですよね。いろんな音楽を吸収した上でやれるのがポップス。俺は、じゃあそのポップスの中で、誰もやってないことをやろうって思ったんです」
――それって、実は壮大ですよね。
「壮大です。ルーツミュージックが分かりやすいポップスが今流行ってますよね。だから僕はそうはしない。ルーツが見えないでしょ。見せないし(笑)。1990年代の『渋谷系』って、ネタを見せる音楽でしたよね。だからファンはこぞってそのルーツの音楽を探して聴くっていう。それを僕らの世代がやっても全く意味がない。今は、絶対的に自分の音楽は『ダンスミュージック』だと思ってやってるし。ついついアタマの中でいろんなことを片付けてしまうんだけど、僕は、音楽はカラダがなきゃいけないと思う」
――カラダっていうのは、ダンスしたりすること? 堂島孝平という生身の人間という存在のこと?
「ああ、まさにそのどっちもですね。カラダで音楽を聴いて、楽しければ家の中でも踊るし(笑)。それに、自分にとっても、『アルバムじゃなくて、自分を作りたかった』って言いましたが。音楽的にはマニアが聴いても『面白いことをやってるね』って言われることを今回もやってると思うんです。でも、その部分より、堂島孝平が前に立ってなきゃいけない。気持ちのある音楽というか。細かい仕掛けより、マインドみたいなものがまず伝わんなきゃいけないと思う。そういう意味では、今回はすごいアルバムになったと思うんですよ。TVに出ちゃったこともあって…それは楽しかったし後悔はもちろんしてないんですけど、僕のパブリックイメージって、こう、ニコニコしてる感じじゃないですか。でも、実はこの2〜3年、一番僕がギラギラしていた時間で。それは、ポップスとはどういうものか、それを突き詰めたいっていう意味なんだけど。それで掴めたのかどうかは分からないけど、そこで得たものを、今回のアルバムでは出さずにいられなかった。作品よりなにより、そうやって音楽をやっている人間がここにいるんだよってことを」

(text by トニー)

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