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来広ミュージシャン
いぬがみさーかすだん
犬神サーカス団
<「求められる存在」に乾杯!>
profile●(唄)犬神凶子、(六弦)犬神情次2号、(四弦)犬神ジン、(毒鼓)犬神明。過去の因縁により、この時代に再会した4人で1994年結成。ダークな詞やメロディの中に、人間界の真実を込めた楽曲。そして演劇的要素も交えたステージングで独自の地位を得る。
活動歴10年目を目前にした犬神サーカス団が、2003年10月"命みぢかし恋せよ人類!"でいよいよメジャーデビュー。かなり特異な立ち位置でい続けた彼らに、「10年」について語ってもらった。

――せっかく全メンバーが揃っているので。この10年で自分的に成長した部分を各人、教えてください。
情次「そうですね、活動をしているなかで、みんなからいろんな意見が出るじゃないですか。楽曲に関してだったり、ステージでの企画だったり。そういう中に、自分の中にはそれまでなかったような事もあるじゃないですか。どちらかというと『うわ、それはちょっと…』っていう感じの。でも、その最初の拒絶したい気持ちをグッと抑えてやってみると、意外にできるじゃないってことが多くて。昔はそれができなかった。『イヤ』って思うと、もうできなかったんですけど。それを一回飲み込んでからチャレンジしてみようと思えるようになりましたね。逆に、そういう刺激がずっとあったから、長くこのバンドでやっていけてるんだと思います」
――…ヒトの意見が聞けるようになった。
(一同爆笑)
情次「(笑)簡単に言うとそういうことかもしれないけど。何ていうんでしょうか」
明「許容範囲が広がった?」
情次「そうそう! イイこと言うね」
――ではジンさん。
ジン「僕は途中からバンドに入ったんですけど。最初はただ自分のことを一生懸命やっていたんだけど、ライブはやっぱりお客さんがいて成立するものじゃないですか。そういうことを考えながらできる…できてる、とはまだ言えないかもしれないけど。そういうことを考えられるようになりましたね。最初はそんな余裕もなかった」
情次「ジン、いいこと言った!」
――凶子さんは?
凶子「ひとつずつ、そこにあることを解決していけば、きっとそこには前向きな非日常があるんではないかと、ずっと頑張ってきたんですけど。…でもそうすると、他にも乗り越えなきゃいけない問題がたくさん出てくるので、結局ツラいのは変わらないんじゃないかと分かりました」
――…ツラいんだ。
凶子「なんかね、子どもの頃『大人になったらこんな風になるんだ』って思ってたことが、ことごとくそうならなかったので。多分この先もこうやっていくんだろうなって。だから多分、生きていけるのかな…なんて」
――でも、幸せになりたいから壁を乗り越えていけるんですよね?
情次「乗り越える度に、達成感も大きくなってるんじゃないかな」
凶子「うん。でもね、乗り越えたと思ったらさらに大きな壁が見えてくるから」
明「それ、『夕焼け番長』が敵を倒したら、もっとデカい敵がいた、みたいな?(笑)」
情次「でもそれはさ、乗り越える前の自分と乗り越えた後の自分の欲求の大きさが違うからさ。それで、欲求が大きくなるから、壁も大きく見えるんじゃない? 本当は、最初よりずっとずっと幸せになってるんじゃないかな」
凶子「ああ、そうかもしれない」
明「それか、全然別の方向に行っちゃってるかだね(笑)」
(一同爆笑)
凶子「それはツラいなぁ」
――では明さん。
明「最初バンドを作ったときは、やっぱり異端であろうと。他のバンドに嫌われるようなバンドになろうと思ってたんですね。『何やってんの? この人たち』っていう。僕たちなりに反旗を翻すっていうか。でもね、だんだんやってるうちに、俺たちがやってることがロック界全体を引っ張ることかなとも思えるようになってきて」
――ほう。大きい話になってきましたね(笑)。
情次「ねぇ、大きく出ましたよね、今(笑)」
明「いやでもね、10年やってきて、今のロック界を変革できるのは俺たちしかいないなと気づき始めて。同じ異端をやるにしても、意識が変わってきたんですね。とにかく大勢の反対側にいようとしていたけど、いつの間にかそれ自体をあまり意識しなくなって、逆にみんなの方が俺たちの方へ近づいているような」
凶子「でもある意味当たってるかも。でなきゃ、今メジャーデビューって話にはならないですよね」
明「求められない存在を目指してたんだけど、今は求められてる気がする」
情次「じゃ、しょうがねーな。乾杯!って感じ(笑)」
明「ちょっと言い過ぎましたけど(笑)。実験的な精神はこれからも持ち続けたいとは思ってますけど」

(text by トニー)

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